【小説感想】西の魔女が死んだ【読むのに時間がかかってしまった】

小説 梨木香歩 「西の魔女が死んだ」を読みました

この小説はいつ読み始めたのかも覚えていないくらい昔に買った。買ったのは大学近くの本屋だったから、まだ大学生の時に読み始めたのは確か。
本のタイトル自体は小学生か中学生の頃から知っていた。当時、読書好きな同級生達の中の誰かがいつも読んでいた印象。
ロングセラーなイメージの作品だった
初めて存在を知ったとき、なかなか衝撃的なタイトルだと思った。一度知ったら忘れにくいタイトルだと思う
「魔女」という単語が入っているから、ファンタジーなのかと思っていたけどそうではなかった。物語の最後の部分はファンタジー要素があるのかもしれないけど。
物語は主人公 まい が祖母(おばあちゃん、西の魔女)の訃報を聞くところから始まる。
おばあちゃんの家へ向かう車中で まい は2年前、おばあちゃんの家で過ごした日々を思い出す。
まい は中学に入ったばかりの頃、学校に行けなかった。始まりは季節の変わり目の喘息だったが、発作が起きなくなっても、学校に行くことを考えると息が詰まりそうだった。
そして、まい は田舎のおばあちゃんの家でしばらく暮らすことになる。
自然に囲まれた暮らし。そこで自分のライフスタイルを貫くおばあちゃん。
まいはおばあちゃんから魔女修行について教えてもらう。
感想
この本を読むのには時間がかかった
読み始めてから全く読まないという期間も含めて、読み終わるまでにいったい何年かかったんだろう
まい の年齢の頃の自分と当て嵌めながら読むとフラッシュバックが酷かった。
まい の気持ちを理解、共感しようとして中学時代の記憶を引っ張り出すと、元気がなくなるということ繰り返した。
この小説は、なんか泣きたくなる
まい は感受性が豊かだと母に評されている。まい の心情がとても丁寧というか詳細というか、多く書かれている。
その心情を表す言葉からなんか まい の感受性というか、繊細さを感じてなんか泣きたくなる
自分にもかつて似たような感情があって、けれど文章で表すことができなかったことが、この小説で文章にされているような感覚だった
魔女修行について
まい はおばあちゃんから魔女修行について教えてもらう
魔女といっても、箒で空を飛ぶとか、杖を使って呪文を唱えてとか、そういうのではない
作中では超能力という言葉が使われていた
なんというか自分をコントロールする力のように感じた。自分自身が強くあるための術というか。そうなることで次第に物事が好転してくるというか。
魔女修行は老若男女誰でも挑戦できる。特別な道具は必要ない
修行の内容は地味というか、習得するのはなかなか難しい
私も身につけたいと思った。ただ、それはすごく難しくて、とても時間のかかることだと思う。
途中で心が折れて諦めて、修行の存在さえ忘れてしまいそうだけど。
ブログに感想を書こうとざっと読み返したけど、やっぱり昔の記憶が蘇ってきた。それで泣いてしまった。
魔女修行の意味とは違うかもしれないけど、思い出したくないことをシャットアウトする、無視するできるようになりたい
次から読み返したい時は、おばあちゃんの魔女修行の部分とか実践したい部分だけ読みかえすようにしようかなと思った
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たくさんの植物、生き物が登場する
この物語にはたくさんの植物、生き物の名前が出てくる
だけど私は、その名前を読んでもイメージができなかった。調べても違いがよく分からなくて、実際にその植物や生き物に遭遇しても、残念ながら気づくことはできないと思った。
ただ、本当に綺麗な景色が描写されているんだと思う。植物、生き物を思い浮かべながら読むべき作品なのだと思う。

印象に残った言葉
一番印象に残った言葉は、まい の言葉
クラスにグループができる時、グループに入る時の行動が嫌になったことについて話す時、
グループができるときの心理的な駆け引きみたいのがね。グループになりたいなって思う子の視線を捉えてにっこりするとか、興味もない話題に一生懸命相づちを打つとか、行きたくもないトイレについて行くとか。そういうのが、なんとなくあさましく卑しく思えてきたんだ
中学生の頃、男女共にグループみたいなのがあって、そのどれかのグループに入るのは当然というか、当たり前のことだと思っていた。1人でいるのはいけないことというか。
まい のようにグループができる時の行動を、嫌とかあさましいとか卑しいとか思うようになったのはもっと歳をとってからだった
その年齢でそこに疑問やそういった感情を持った まい はなんというかすごいと思った
ただ、中学に入ったばかりなんだから、もっと頑張ればとも少し思ったけど。
まい もそれについては「やっぱり弱かったと思う。一匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる楽さを選ぶか……」と言っていた
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渡りの一日
おばあちゃんの家での生活の後の まい の物語「渡りの一日」も併録されていた。
おばあちゃんの家での暮らしで決断をしたあとのまいの様子が知れて良かった。まい の変化が読めた。
作中で面白い表現だなと思ったのは、
誤解は人生を彩る。
なんか、いいフレーズだと思った。どこかで使ってみたい。使う機会が思い浮かばないけど。
それから、ダンプの運転手 あやさんが言った言葉も印象に残った
「そりゃあ、いろいろあるわよ。でも、いろんなトラブルを一つ一つ解決していくのって何ともいえない快感よ。自分の人生を自分の力で切りひらいていってるって実感があるわ」
トラブルを解決していくのを快感とか、人生を切りひらいているなんて思ったことない私にとっては、こういう考え方はなんだか眩しい。
困難な状況も楽しめるくらいの強さを持ちたいと感じた。
おわりに
今回は小説「西の魔女が死んだ」の感想を書きました。
良い作品でしたが、読むのがなかなか辛い作品でもありました。
読んでみて、なぜこの作品がロングセラーなのか分かりました。
おばあちゃんのような考え方はとても大切だと思う。
ただ、それを多くの人の中で忘れないで持ち続ける、実践するのは難しいと思う。
それに、その考え方だけでも駄目なんだと思う
今回は主人公 まい視点で物語を読みましたが、年齢を重ねたらおばあちゃん目線でこの話を読むようになるのでしょうか
この物語はこれからも多くの人に読まれていくんだろうなと思う話でした
映画化されているようです
「西の魔女が死んだ」は映画化、2008年に公開されていたようです。

私は植物の名前を聞いてもイメージができなかったので、映画でおばあちゃんの家の庭がどういうふうに描かれているか気になります
映画版はAmazon Prime VideoやU-NEXT
などで配信されているようです。
(本ページの情報は2019年11月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。)
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